アルガノーリの食卓
La banchetta di Alganori

 

緊急のワカルボナーラ

く危機管理や緊急対策について話されることがありますが、今回はまさにそんなシェフの緊急時の対応を如実に表現できた作品です。

事はパスタを茹でている時に起きました。イタリアンパスタの湯で時間は約10分程度。その日シェフはパスタのソースをなにも考えないでゆではじめてしまったのです。そこで緊急にソースを作ることに。

冷蔵庫にある卵、バター、チーズ、この3種の神黄で考え出されのが、「ワカルボナーラ」です。

 まず葱を炒めます。カルボナーラは玉葱かニンニクを使用するのですが、ワらしく葱にします。その間にソースを準備します。ローマといえば羊の乳を使ったペコリーノチーズです。
これをパルメザンのように細かく擦ります。

そこに生卵と黒胡椒をぶち込んで混ぜます。 そして最後に醤油を入れるのです。スパゲティはアルデンテに仕上げなくてはいけませんので、時間との勝負です。そのうちにパスタの芯が残るぐらいに茹で上がったので、すばやく水を切って葱を炒めた鍋にパスタをぶち込みます。

このあと卵チーズソースを入れることになるのですが、ここが時間の計りどころなのです。早すぎると卵はかたまるし、遅すぎるとパスタが冷めて生卵状態になってしまいます。

熱の具合を見ながらアルガノーリは持ち前のカンでソースをぶち込みかき混ぜます。すると黄金の光を放ちながら魔法のようにとろみを持つワカルボナーラができあがりました。

 卵と醤油と胡椒と葱のまろやかな味を舌に与えてくれました。ちなみにバターは使いませんでした。

おまけ
ヴェネチア広場に宇宙人現る!

バイクで夜ヴェネチア広場を通ったら、なんと緑の光線がポポロ広場方面からここまで差し込んでいるではないですか。ポポロ広場からヴェネチア広場までは1500m近い直線道路のコルソ通りがあり、光線はその頭上を走って、ビットリオ・エマヌエレ二世祈念堂(戦没者慰霊碑)にぶち当たっています。しかも他にも緑光線が広場上空に放たれ、危険な状態です。近くメディチ家率いるフィレンツェ共和国か、ドイツ皇帝バルバロッサのしわざでしょうか?怖いです。


 

真夜中のシャブシャブ

刻は夜中の1時半です。さりとて朝から何も食べていないシェフはさすがにお腹がすいてしまいました。このまま寝るには残酷すぎます。

そこで夕刻スーパーで買った特売3ユーロ400gの薄切り牛肉(多くはカルパッチョに使用されるべき高級肉だが、安全性を鑑みてカルパッチョ用=生食肉とは書かれていなかった)をつかって、真夜中のシャブシャブと決め込むことにしました。

 作り方はとても簡単です。

お湯に昆布をぶち込み煮立ったら肉を入れるだけです。
肉は見た目高級な感じがしますのでさぞ美味しいことでしょう。

薬味に美しい彩りの葱を刻みます。タレは醤油とポン酢を適当に調合します。
ご飯は最高級の中華米。

大事なことはお湯の中に肉を入れてからすばやく取り出すことです。
生でもいけず、かといって長く茹でると硬くなってしまいます。
ここはシェフ眠くてもカンは冴えています。肉の赤身が消えたらすばやく肉を取り出してあっというまに400gをたいらげました。

しかしこの作業はキッチンから離れることもできないので、コンロ前に椅子を持ってきて食べようかと思いましたが、あまりの忙しさに結局立ち食いをしてしまったのです。

夜中の3時満腹なアルガノーリはそのままベッドへと直行するのでした。

 


 

 

スペース蒲焼

回シェフは壮大なスケールのクチーナに挑戦しました。まさに近代の誇る技術を駆使して開発された宇宙食、スペース蒲焼です。確かに賞味期限はとっくに切れていますが、宇宙食真空状態なので永久保存が可能なのでしょう。

うなぎは栄養もあり、宇宙空間でも食べたくなる食材要素のひとつです。無重力状態で顎に負担もかからず、よりいっそう美味しく食することができるでしょう。

早速カウントダウンとともに、一号機エンジンに火が入りました。ものすごい火力とともに内部の液体が煮沸します。これはあの蒲焼を煮るためのものなのです。

一方で二号機の様子はどうでしょう。今回は炉の内部に、岩手産のお米が入っています。炉心には岩手産の米が一番であると昔から決まっているのです。炉心は約20分ほどで臨界状態に達しますので、防止するために電源を切ります。

炉を開いてみると、いつもの米とはちょっとちがうようなそんな気がする米が湯気をあげています。二号機は成功です。これで1号機の蒲焼がドッキングされるのです。

ついに完成です。仕上げに液体タレと山椒がかけられ NASA のスタッフも一安心です。

さすがに規定賞味期限を守らなかっただけあって多少の歯ごたえに違和感はあるものの、地球の蒲焼とまったく同じ味を出しています。ご飯は2合半たきましたので、うなぎは小さく刻まれて最後の一膳まで食べられました。

 


 

ワカルボ・リミックス

夜のシェフは夜中の3時に調理と洒落込みます。今朝はカプチーノ、夕方はカフェラテを飲んだだけです。夕刻チヴィタヴェッキアに行ったときに港で新鮮な魚を見たのですが、昨今の世界経済危機を懸念しシェフも緊縮モードでまっすぐ家に帰ってきました。

さて調理場の冷蔵庫に残っているのは食べてしまわなければいけない卵と葱です。葱はちょっとどろどろですが、そういう頃が一番美味しいのです。そしてフリーザーの中に入っている納豆(イタリア語では腐り大豆)がありましたので、早速シェフ流に解凍します。今は冷蔵庫に解凍機能がついているものもありますが、納豆の美味しさを心地よく引き出すには鍋蓋の上に置くのが一番です。(良い子はまねをしないようにしましょう)

さて今夜半のシェフの作品は「ワカルボナーラ・コン・ファッジォリーニ・ケ・アンダータ・マーレ」です。

お湯は恒例のパスタです。ここに切った葱ととき卵を用意します。

和風なのでオリーブ油だけでなくバターを入れます。そこに胡椒、にんにく粉を入れて茹で上がったパスタを軽く炒めます。そこに例の納豆をぶち込みます。ちょっと芯に氷が残っているほうがいいでしょう。これで少々炒め続けてから、最後に火を止めて卵をぶち込みます。余熱で卵を混ぜてワカルボナーラができました。ベースの味を忘れたので醤油とソースで調整してできあがりです。

あの黄金のカルボナーラに粒粒の納豆が見えています。今回はいつもよりも増して最高の仕上がりとなりました。卵のとろみと納豆の粘り気が混ざって食欲は最高潮に達します。それは単に空腹であるといいう現実的

状況の範疇での思考だけではなく、何か形而上の食に対する精神が、おいしさへの渇望へと帰依されるのだとシェフは説明しています。とにかく美味いです。この作品は皆様にもお勧めします。そろそろ眠くなってきまし

 



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