アルガノーリの食卓
La banchetta di Alganori


 

幻のコンパス

かつてシェフが若く貧しい頃よく食べていた、というよりほぼ毎日食べていた料理を現在アレンジしながらリメイクしたものが今回紹介する「コンビーフ・パスタ」です。イタリアではコンビーフを食べることはありませんが、先日某世界食料品店でアルゼンチン産のコンビーフが売られているのをアルゲノーリは発見しました。

コンビーフといえば若き頃に食べたパスタが思い出されます。
かつてはパスタの種類すらも知らなかったシェフでしたが、今回この料理に再度挑戦することに決め、1缶2 , 4ユーロのコンビーフを10分考えたすえに買いました。
家には、昔「マカロニ」と呼んでいたものに近い形の SEDANINI RIGATI というおあつらえ向きのパスタがありましたのでこれを使うことに。早速お湯を沸かします。

ところがここで問題が発生。コンビーフを開けようと金具をまわしたら、ブチっと金具が切れてしまったのです。日本ものと違って慎重にと思っていたのですが、逆に回したのがわるかったのでしょうか。しかしなぜコンビーフのカンズメに限ってこのような開き方をするのが、アルゲノーリは疑問の色を隠せません。





まあとにかく缶切りでこじ開け、ニンニクなどで炒めます。ここに茹で上がった自称マカロニを入れてだた混ぜるだけです。雰囲気を出すためにバターも入れてみました。かつてはオリーブオイルなども知らなかったのでバターやサラダ油をよく使っていたのです。




そうしてできましたが、マカロニの量をちょっと間違え400gぐらい作ってしましました。さすがにこのコンビーフはパサパサ状態で、醤油も入れましたが、まあこの凄惨な味が、青春時代を彷彿させてくれました。




シェフの若き頃の食卓は、これと、袋の日本そば3玉か、納豆焼きそばの3種のローテーションでした。(今とあまりかわっていないと言えば言えなくはありませんが)400gもあったので途中で飽きました。そこでバリエーションを考え、おかわりは、イタリアンマヨネーズをかけてマヨパスです。




何年も食べていないこの味には感動しました、イタリアのマヨネーズはちょと油が多く、ギトギト感があるので、すぐに飽きました。パスタはまだ残っています。しかたないので最後の手段として、ふりかけをかけてフリパスにして豪華な食卓は幕を閉じました。

 



 

シェフ・アルガノーリのオッジのクチーナ

 やはりイタリアにいるとなんとも日本食が恋しくなるものです。給料も出ないので、昔 3 年前ぐらいにもらったカンズメを開けることにしました。いわしか、サバのような魚です(ふたに書いてあるだろうに…)

 ご飯はヴィットリオ広場にある中華食材店の米、 1 キロ 2 , 5 ユーロの「日の出」(日の出とかいて SINODE となっているので江戸っ子なのだろう)を炊きました。暖かいのが特徴です。カンズメはそのまま開いてガスコンロにかけてできあがりー。小魚 1 匹あたり半合でたべないといけません。なぜなら2合炊いたからです。

 味噌汁は、インスタントのものが残っていました。賞味期限切れたのが。あとキンピラごぼうもあったので食べました。ちなみにイタリアには牛蒡がありません。でも嫌いなのでどっちでもいいです。



 


 

具の骨頂のスブータ
日はかつて人からもらったまま賞味期限が過ぎてしまった「酢豚」を作ることにしました。
  シェフは通常このような即席調理を嫌うのですが、賞味期限には勝てません。さっそく酢豚の材料を、わざわざスーパーで買い揃えます。


豚肉やら玉葱やらニンジンやらシェフにとっては余計な出費です。
豚肉は種類がわからないので、スペアリブ用の骨付き肉を購入して、そいでみました。


さっそく調理にかかりましたが、シェフはてっきり瞬時に出来るのかと思いきや、豚肉を下ごしらえしたり、揚げたりと七面倒はなはだしいこと。説明に従っていくとシェフの創作性も失われ、不満たらたらです。


油少なめに揚げた豚を横に置いて、こんどは野菜を炒めます。そうしてやっと酢豚の素の登場です。ここに至るまでに実に2時間の時間(買物を含め)を要しました。果たしてこれが即席なのでありましょうか?

まあとにかくトロトロっぽい酢豚ができ、今回のシェフ唯一の創作と言える中華米ご飯とともに、食卓に並んだのでした。

 

 


 


シェフの修正

  シェフの名誉挽回です。前回のスブータは説明書通りに作ったことからうまくいかなかったと思われますので、今回はシェフのお気に召すままに作ってみました。残した例のものを炒めてみます。

1日立っていると味もしみているというものです。そしてスパゲティをゆでてぶち込みます。まろやかな酸味と肉の脂が程よくパスタに絡みこんで、最高の味となりました。やはり説明書き通りに作ってはいけないのです。

すべてはシェフのカンだけが最高の仕事を成し遂げる秘訣なのでしょう。

ちなみにスペアリブ用の骨があまったので、お湯と醤油でスープとしました。これもまた傑作となりました。

 


 

仕込み鶏のスパゲティ

イタリアといえばポッロ(鶏)です。名前のようにポロポロと身がほぐれ、脂がしみ込んだ感じはやはりイタリアならではなのでしょう。そこで今回はポッロを使ったパスタをご紹介しましょう。シェフ特製です。
 ハードディスカウントで売られているポッロは2ユーロちょっと。これをふんだんに使用します。まず、醤油、にんにく、生姜、胡椒、そしてトスカーナワイン(モンタルチーノのそばで作られたもの)で鶏肉を浸し腐敗を防ぎます。スパゲティは同スーパーで買った1キロ600セントのものをふんだんに入れて茹でます。
  ちなみに塩は海水程度です。日本のパスタの説明書きに書かれている「少々」というのは意味がありません。

 そのうちにねぎを刻みます。そして鶏を炒めます。この際にワインなどの漬け汁は少し残しておきます。
  ポッロはジュージューいいながら炒められますが、切り方が大きかったのか内部はまったく火が通りません。しかもパスタも茹で上がりつつあります。そこでシェフの機転で残った汁を入れます。そしてナイフで鶏肉にブチブチと穴をあけて火の通りを良くしました、これでかろうじてポッロに火が通ったのです。
  そこにパスタ(アルデンテ)をぶち込みかき混ぜればできあがりです。 皿に入れるのはまさに邪道なので、この鍋のまま食べるのが旨みを増すコツでもあります。よく「モノは器で食わせる」といいますので。今回も多く作りすぎましたが、鶏パスタの美味しさがそんなことも忘れさせ、「 N スペ」を見ながらあっというまに平らげてしまいました。


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